解熱鎮痛薬の選び方

健康

コロナウイルスのワクチン接種により市販薬でも解熱鎮痛薬が通常より売れている印象があります。

ワクチン接種後の発熱や痛みに対しては、医師が処方する薬以外にも、市販の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェンやロキソプロフェン等))で対応いただくことができます。また、発熱時には、水分を十分に摂取することをお勧めします。詳細は、新型コロナワクチンQ&Aをご覧ください。
なお、症状が特に重かったり、長引くなどがあれば、医療機関等への受診や相談をご検討ください。

引用:厚生労働省(新型コロナワクチンの副反応について)より一部引用

上記の発表によりカロナール(アセトアミノフェン製剤)がコロナワクチン接種開始後の方からよく問い合わせがありました。特にコロナワクチン2回目接種の時期では『カロナール下さい』とやたらと聞かれた記憶があります。一時期売り場からアセトアミノフェン主製剤が消えて、アセトアミノフェン製剤はこどもパプロン坐薬だけになったこともありました。『これ12歳までしか書いてないけど大人が使う場合何個入れるの?』って聞かれたこともありましたが『大人が使用する事は想定されていないと思うので僕の口からはなんとも、、、(このお客さん何個入れるつもりよ、尻パンパンになるで)』と言葉を濁したこともありました。とりあえず今は落ち着いているので『カロナール下さい』と聞かれたら誰が服用するのかなどヒアリングしてから市販薬のタイレノールを販売しています。

今回は解熱鎮痛薬といってもいくつか種類があるので、今販売されている市販薬に限って説明します。

ピリン系

成分:イソプロピルアンチピリン

特徴:強い鎮痛作用と解熱作用があります

代表的な市販薬としてはセデス・ハイサリドンがあります。

服用時の注意点

ピリン系の解熱薬はピリン疹と言われる薬の原因による蕁麻疹など副作用が起きる場合があると言われています。子供の頃に解熱剤を飲んで蕁麻疹が出た事がある人は避けた方は良いと思います。僕は販売後に万が一副作用で何かあるとと頭によぎるので、ピリン系の薬はイブプロフェン製剤で効果が感じられなかったと言ったお客さん以外には積極的にはピリン系は勧めてませんね。

非ピリン系

成分:アセトアミノフェン

特徴:解熱と鎮痛の2つの作用があります。アセトアミノフェンは赤ちゃんやこども、妊婦さんでも使用ができますが基本的に赤ちゃんや妊婦さんの場合は医師と相談した方が良いです。子供に関しても薬によって服用出来る月齢が違う場合があります。こどもパブロン坐薬だと1歳から使用できますが、小児用バファリンC2は3歳から服用が可能となっています。

非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)とは、抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を有する薬剤の総称です。広義にはステロイドではない抗炎症薬すべてを含みます。”エヌセイズ”と読み、医薬品勉強会で解熱鎮痛薬や風邪薬では必ず出てきます。NSAIDsは、疼痛、発熱の治療に使用される“解熱鎮痛薬”とほぼ同義語として用いられています。市販薬でのNSAIDsの代表例として以下があります。

市販薬の主なNSAIDs成分

  • イブプロフェン
  • エテンザミド
  • アセトアミノフェン
  • アスピリン

第2類までの市販薬ではイブプロフェンが一番解熱鎮痛効果が高いと思います。ただ胃を荒らすので服用して胃が痛いなと感じたら薬の副作用による物かもしれません。大体のメーカーが胃粘膜保護成分を一緒に入れています。最近の傾向としてメーカーはイブプロフェンの量を増やした新商品を発売しており、バファリンプレミアムはイブプロフェンを20%増量してバファリンプレミアムDXとして販売しています。

薬の選び方

①年齢

②性別

③他に医薬品を使用していないか

④妊娠しているか

⑤授乳しているか

⑥症状

⑦病院で医師の診断を受けたか、またその内容はどうだったか

⑧過去に使用したことはあるか、服用後の副作用など気になることはあったか

解熱鎮痛薬に限らず薬を選ぶ際は上記の事は気にした方が良いです。販売する側は接客時にはこの事をヒアリングして販売しています。

①年齢

年齢によって服用できる薬の成分は異なります。解熱薬ではアセトアミノフェンとイブプロフェンでは服用できる年齢が異なります。イブプロフェンは15歳以上から服用できるので、15歳未満の子供にこの前買ったものが残っているからと服用させる事はNGです。

②性別

女性では解熱鎮痛薬生理痛でよく使用される方がいると思います。生理痛に合わせたエルペインという解熱鎮痛薬が市販薬として販売されています。男性に対しても症状をヒアリングしてみて症状的にバファリンルナiなど女性向けの商材が合っていそうな場合もありますが、どうしてもパッケージが女の子っぽくなるので、僕の場合は無難にバファリンプレミアムDXなどを勧めています。(昔、お客さんに『俺男だけど?』みたいな変な空気になった事があったので)

③他に医薬品を使用していないか

風邪薬を服用しているときは、風邪薬自体に解熱鎮痛成分が入っている事が多いので同時に服用する際は成分を確認した方が良いです。また、エテンザミドはワルファリンと相性が悪いです。血栓治療で抗凝血薬のワルファリンを服用している方が解熱鎮痛薬でエテンザミドの入っている薬を服用すると効果が増強されてしまいます。日常的に服用している薬が何かを知る事も大切です。

④妊娠しているか

妊娠している方は全くダメとは思いませんが基本的に市販の解熱鎮痛薬は服用しない方が良いと思います。僕は基本勧めてないです。タイレノールは服用できるかもしれませんが、お医者さんに聞いてからの方が良いですと伝えています。

⑤授乳しているか

ほぼ全部の解熱鎮痛薬には『授乳中は相談する事』になっていると思います。薬を服用する直前や直後であればまだ乳汁に移行していないので大丈夫と思います。薬は服用してから徐々に血中に入って行くので2、3時間後の授乳は控えた方が良いと思います。心配であればお医者さんに聞いてみてくださいと伝ています。

⑥症状

解熱鎮痛薬は解熱と鎮痛の効果があります。熱を下げたい場合はアセトアミノフェンとイブプロフェンが一緒に入った薬が良いと思います。また、仕事中や自動車の運転をするのであれば鎮静成分が入っていないもの、睡眠前や休み期間に服用する場合は入っているものを進めています。鎮静成分はブロムワレリル尿素やアリルイソプロピルアセチル尿素など成分表に『なんとか尿素』と書いてあるものです。痛みをなんとかしたい場合もアセトアミノフェンとイブプロフェンが一緒に入ったものを勧めています。効果があまり感じないと言われたらイソプロピルアンチピリンが入ったものを試してみてくださいと伝えています。また、痛くなって痛さがピークに来てから服用するよりも、痛くなってきたぐらいから服用した方が効果があります。

⑦病院で医師の診断を受けたか、またその内容はどうだったか

処方されたものがあればそれが無くなってから使ってくださいと伝えています。医師の診断を受けていない状態で、頭の痛みが今までにないぐらい痛いなどと言われた場合は『すぐ病院に行ってください』と伝えています。病院に行くのがめんどくさい、市販薬でなんとかしたいという方も一部いますが、『今までと違う』『感じた事がない』『おかしい』という体の危険を感じた場合はドラッグストアではなく病院に行きましょう。

⑧過去に使用したことはあるか、服用後の副作用など気になることはあったか

薬を使って見ての感じ方は人それぞれです。大事な事は自分に合った薬を見つける事です。不思議なものでAとBのメーカーで全く同じ成分なのに、Aは効果を感じないのにBはとても良く効くというのはあります。薬の溶け方などの差があるのかもしれませんが、使用する人が『これは効果がある』と信じれば大して効果のない薬でも効果を体感できる場合があります。いわゆるプラセボ効果です。治るとつい忘れてしまいますが『過去に服用した時の使用感』は覚えておいた方が良いです。

 

コメント